世界中で大人気の「Roblox(ロブロックス)」。その人気がすごい一方で、「そもそもロブロックスってどこの国のサービスなの?」と疑問に思う方も多いかもしれませんね。会社はアメリカにあると聞くけど、それなら日本から遊ぶとラグいんじゃないか、とか、社長はどんな人なのか、日本法人はあるのか、といった疑問です。
また、これだけ人気だと、実際にはどこの国で一番遊ばれているのか、上場はしているのか、といった運営会社の情報も気になるところかなと思います。サーバーが海外だと、プレイの快適さにも関わってきますしね。
この記事では、そうした「ロブロックスの国」に関するさまざまな疑問について、会社の基本情報から、プレイヤーの分布、そしてサーバーの場所まで、分かりやすく解説していきますね。
- ロブロックスの会社がどこの国にあるか(本社所在地)
- 現在、どこの国や地域で一番人気があるか
- 日本からのプレイは快適か(サーバーの場所)
- 創設者(CEO)や上場に関する情報
ロブロックスはどこの国?会社の基本情報
まずは、「ロブロックスという会社」がどこの国にあるのか、基本的な情報から見ていきましょう。設立の経緯や日本での展開を知ると、ロブロックスが単なるゲームプラットフォームではないことが分かりますよ。
会社はアメリカのサンマテオ本社
結論から言うと、Roblox Corporationはアメリカ合衆国の企業です。
2004年にカリフォルニア州のメンローパークで設立されました。現在の本社は、同じくカリフォルニア州のサンマテオにあります。どちらもシリコンバレーの中心地として有名なエリアですね。登記上の本社(設立国)も、実際の運営本社も、法務的・実質的の両面でアメリカの会社として機能しています。
ちなみに、サンマテオの本社は単一のビルではなく、複数のビルから成る大規模な企業キャンパス(総面積は約5万5千平方メートル以上)だそうです。エンジニアリングから製品開発、マーケティングまで、中枢機能がすべてここに集結しているんですね。
会社の基本情報をテーブルにまとめておきますね。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式社名 | Roblox Corporation |
| 設立国 | アメリカ合衆国 (U.S.) |
| 設立年 | 2004年 |
| 設立地 | カリフォルニア州 メンローパーク |
| 現本社所在地 | カリフォルニア州 サンマテオ |
| 共同創設者 | David Baszucki, Erik Cassel |
| 現CEO | David Baszucki (デイビット・バシュッキ) |
| 上場市場 | ニューヨーク証券取引所 (NYSE) |
設立の経緯と開発者
Robloxは、デイビット・バシュッキ(David Baszucki)氏とエリック・カッセル(Erik Cassel)氏の二人によって共同で設立されました。
非常に興味深いのは、Robloxの原点が私たちが知る「ゲーム」ではなかったことです。彼らは1989年に「Knowledge Revolution」という教育用ソフトウェアの会社を設立・運営していました。そこで開発していたのが、「Interactive Physics」や「Working Model」といった、物理シミュレーションソフトです。
当時、彼らは学生たちがこのソフトを、単なる勉強道具としてではなく、自動車の衝突実験や建物の倒壊シミュレーションなど、自分たちで独自の「体験」を創造するために使っていることに気づきました。
この「誰もが物理法則に基づいた3Dの体験を創造し、共有できるプラットフォーム」という着想こそが、Robloxの基盤になっています。私たちがRobloxで目にするブロック(21)は、この物理シミュレーションを誰もが簡単に扱えるようにするための、必然的な形だったのかもしれませんね。
残念ながら、共同創設者であり、技術的な基盤構築に多大な貢献をしたエリック・カッセル氏は、2013年2月に癌との闘病の末に逝去されました。しかし、彼の遺した技術とビジョンは、今もRobloxの企業文化に深く刻み込まれています。
CEO(社長)はどんな人?
現在のCEOは、共同創設者の一人であるデイビット・バシュッキ(David Baszucki)氏です。
彼は単なる経営者というより、Robloxのビジョンそのものを体現している人物、という感じですね。「Knowledge Revolution」時代から一貫して、「教育」と「創造性」への強い情熱を持っています。
彼が目指したのは、単なるゲームのプラットフォームではありません。彼自身、Roblox上で作られるものを「ゲーム」ではなく「体験(Experience)」と呼ぶことにこだわっています。これは、ユーザー自身が創造し、学び、交流する場を提供したいという、設立当初からのビジョンが続いている証拠かなと思います。
彼がRobloxを「メタバース」の先駆けとして語る際も、単なるバーチャル空間という意味だけでなく、人々がリアルタイムで集い、創造し、経済活動さえも行うコミュニティとしての側面を強く意識しているようです。
ちなみに、デイビット・バシュッキ氏はサンフランシスコのベイエリアに家族と在住しているそうです。まさにシリコンバレーの起業家、といった感じですね。
上場はいつ、どこにした?
Roblox Corporationは、2021年にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しました。ティッカーシンボル(銘柄コード)は「RBLX」です。
この上場の際、Robloxは一般的なIPO(新規株式公開)ではなく、DPO(直接上場)という少し珍しい方法を選んだことでも話題になりました。
IPOが新しい株を発行して資金調達するのに対し、DPOは既存の株主(従業員や初期の投資家、そしてRobloxの場合は開発者コミュニティも含まれるかもしれません)が持つ株を市場で直接売買できるようにする仕組みです。これは、プラットフォームの価値を、それを支えてきたコミュニティや開発者と直接共有したいという、彼ららしい考え方の表れかもしれませんね。
(出典:Roblox Corporation Investor Relations)
日本オフィスの役割とは
「アメリカの会社なら、日本でのサポートや展開は手薄なのでは?」と不安になるかもしれませんが、心配いりません。Robloxは日本(東京)にもオフィスを設置しています。
そして、東京オフィスの役割は、単なるカスタマーサポートの窓口ではありません。日本市場における「戦略的ハブ」として、非常に重要な任務を担っています。
- 日本の企業やIP(アニメ・漫画など)との連携(ローカルパートナーシップ)の推進
- 日本の優秀なクリエイターや開発者コミュニティの育成・支援
- Z世代のユーザー、保護者、報道機関など、日本国内の多様な関係者との戦略的な関係構築
- 日本市場固有の課題や政策(ルール作り)への対応
実際に、Robloxが日本で募集していた「コミュニケーションズ・マネージャー」といった役職の求人内容を見ると、単なる翻訳業務ではなく、日本のZ世代のトレンドを理解し、現地の報道機関や政策担当者と直接やり取りするような、高度なローカライズ戦略が求められていました。
これは、Robloxが日本市場を、韓国やインドと並ぶAPAC(アジア太平洋)地域の最重要市場の一つとして位置づけ、本腰を入れて事業展開を行っている明確な証拠と言えますね。
収益源のRobuxについて
Robloxの主な収益源は、プラットフォーム内で使われる仮想通貨「Robux(ロバックス)」の販売です。
ユーザーは現実のお金でRobuxを購入し、それを使ってアバターの衣装(スキン)やアクセサリー、ゲーム内で有利になるアイテムなどを購入します。このRoblox内で循環する経済は「Roblox経済圏(Economy)」と呼ばれています。
そして、この経済圏の核となるのが、2013年に導入された「Developer Exchange (DevEx)」というプログラムです。
Developer Exchange (DevEx) とは?
これは、Roblox内でゲーム(体験)を開発し、そこでRobuxを稼いだ認定開発者が、そのRobuxを現実の通貨(米ドル)に換金できる仕組みです。
まさに「ゲーム版YouTube」と呼ばれる理由がこれですね。YouTubeが動画クリエイターに広告収益を分配するように、RobloxはゲームクリエイターにRobux(=現実のお金)を分配する「クリエイターエコノミー」を確立しています。
これにより、世界中(もちろん日本にも)に、Robloxでのゲーム開発だけで生計を立てるプロのクリエイターや開発スタジオが生まれています。Robloxは単なる遊び場であると同時に、多くの人にとっての「職場」にもなっているわけです。
ロブロックス、どこの国で人気?サーバーの場所
会社がアメリカにあることは分かりました。では次に、プレイヤー視点……つまり「どこの国で一番人気があるのか」そして「日本の私たちが遊ぶ時、どこのサーバーに繋がるのか」を見ていきましょう。これはゲームの「ラグ」に直結する重要なポイントですね。
ユーザー数が一番多い国は?
「アメリカの会社だから、アメリカで一番人気」と考えるのが普通ですよね。実際、単一の国として見れば、依然としてアメリカ合衆国が最大のユーザー数を抱えています。
しかし、これはRobloxの一面でしかありません。かつて「アメリカの子供たちのゲーム」という側面が強かったRobloxですが、現在のユーザーベースの現実は大きく様変わりしています。
公式発表によると、RobloxのDAU(デイリーアクティブユーザー数)は、2024年の第4四半期時点でなんと8,530万人に達しているそうです。このとてつもない数のユーザーは、もはやアメリカ国内だけでは説明がつきません。
では、地域別で見るとどうなるのでしょうか?ここに現在のRobloxを象徴するデータがあります。
人気が急上昇中のAPAC地域
最新のデータ(2024年時点)では、Robloxのデイリーアクティブユーザー(DAU)が最も多い地域は、なんとアジア太平洋(APAC)地域なんです。
かつて中心だった「米国・カナダ」を大きく引き離し、Robloxのプラットフォームとしての「重心」が、すでに北米からアジアに移っていることを示しています。
地域別のDAUシェアを分かりやすく表にしてみました。
| 地域 | DAU(デイリーアクティブユーザー)シェア |
|---|---|
| アジア太平洋 (APAC) | 35.7% |
| その他 (Rest of the World) | 24.3% |
| ヨーロッパ (Europe) | 20.9% |
| 米国・カナダ (US & Canada) | 19.0% |
このように、APACと「その他(主にラテンアメリカなど)」を合計すると、全ユーザーの約60%が、北米とヨーロッパの「外」に存在していることになります。
さらに注目すべきは、DAUの数だけでなく「エンゲージメント(プラットフォームでの滞在時間)」においても、2024年にはAPAC地域が北米やヨーロッパを上回り、全地域で最大となりました。
これは、Robloxが「アメリカのゲーム」から「アジア太平洋が牽引するグローバルプラットフォーム」へと完全変貌を遂げたことを意味しています。前述した日本オフィスの強化や、インドでの拠点設置、後述するブラジルでの新データセンター建設といったRoblox社の戦略は、すべてこのデータに基づいたものなんですね。
サーバーの場所とラグの関係性
さて、ゲームプレイヤーとして一番気になるのが「ラグ(遅延)」の問題です。「会社がアメリカなら、サーバーもアメリカにあってラグいんじゃないの?」と心配になるのは当然です。
この点において、Robloxは非常にユニークな戦略をとっています。
一般的な大手テック企業(例えばNetflixなど)が、AWS(Amazon)やAzure(Microsoft)といった巨大なパブリッククラウドサービスにインフラを依存させるのとは対照的に、Robloxは独自のインフラ(自社保有のオンプレミスサーバー)を世界中に配置する戦略を主体としています。
なぜ自社サーバーにこだわるのか?
その理由は、Robloxが提供するサービスが、動画配信やチャット以上に「ラグや遅延に対する許容度が極めて低い」リアルタイムの3D共同体験だからです。
コストとネットワーク遅延(レイテンシー)を自社で完全にコントロールするため、Robloxはあえて自前でサーバーインフラを構築・運用しているんですね。その規模は2024年時点で14万台以上のマシンに及ぶそうです。
このインフラは、大きく2種類に分かれています。
- コアデータセンター (Core Data Centers): ウェブサイトや安全フィルター、経済システム(Robux)など、プラットフォーム全体の中央機能を担う、数拠点の大規模センター。
- エッジデータセンター (Edge Data Centers): ユーザーが実際にプレイする個々のゲーム(インスタンス)を実行する、世界中に分散配置されたサーバー拠点。
私たちがゲームに参加する際、システムは遅延を最小化するために、自分に地理的に最も近いエッジデータセンターに自動的に接続してくれます。
もちろん、ラグの原因はサーバーの距離だけではありません。ご自身のインターネット回線(特にWi-Fiの電波状況や、夜間のプロバイダの混雑)も大きく影響します。サーバーが近くてもカクつく場合は、一度ご自宅のネット環境(可能なら有線LAN接続を試すなど)を見直してみるのも手ですね。
日本のサーバー接続で快適
では、肝心の日本のサーバーはどこにあるのでしょうか?
「ロブロックスがラグいのは、海外の会社でサーバーが遠いからだ」——この認識は、現在のRobloxに関しては明確な間違いです。
Robloxは、日本のプレイヤーの遅延を最小限に抑えるため、そのエッジデータセンター(サーバー)を日本(東京)にも設置しています。
したがって、日本のユーザーがRobloxをプレイする際は、原則としてこの東京サーバーに自動的に接続されます。わざわざアメリカやヨーロッパの遠いサーバーに繋がるわけではないので、サーバーの物理的な距離が原因の大きなラグは発生しにくい構造になっているんです。これは日本のプレイヤーにとって、非常に大きなメリットですね。
世界中に広がるサーバー拠点
Robloxの低遅延へのこだわりは、日本だけではありません。世界中の主要なインターネットハブにサーバーが分散配置されています。
- アジア太平洋 (APAC): 東京 (日本), シンガポール, 香港, ムンバイ (インド), シドニー (オーストラリア)
- 北米: サンノゼ, ロサンゼルス, ダラス, シカゴ, アトランタ, アッシュバーン, ニューヨーク, マイアミ
- ヨーロッパ: ロンドン (英国), アムステルダム (オランダ), パリ (フランス), フランクフルト (ドイツ)
- 南米: ブラジル (2026年初頭に稼働予定)
このように、Robloxは急成長する南米市場向けにブラジルにも新たなデータセンターを建設するなど、全世界で快適なプレイ環境を提供するために莫大な投資を続けています。
総括:ロブロックスはどこの国か
最後に、「ロブロックスはどこの国か」という検索の裏にある、いくつかの疑問に対する回答を、3つの側面からまとめてみましょう。
- 企業の国(アイデンティティ):アメリカ
Roblox Corporationは2004年にカリフォルニアで設立されたアメリカ企業です。創設者のビジョンや本社機能もアメリカにあります。 - ユーザーの国(人気):アジア太平洋(APAC)が牽引するグローバル
プラットフォームとして最も人気があり、DAU(デイリーアクティブユーザー数)が最も多い地域は、アメリカ(約19%)ではなく、アジア太平洋(APAC)地域(約36%)です。 - インフラの国(接続性):日本(東京)を含むグローバル分散
日本のプレイヤーは、原則として東京に設置されたサーバーに接続されます。「海外サーバーだからラグい」という認識は、現在のRobloxには当てはまりません。
このように、Robloxは、「アメリカ(企業)で生まれ、アジア太平洋(ユーザー)で最もプレイされ、日本を含む世界中(サーバー)で支えられている、真のグローバルプラットフォームである」というのが、私の結論です。
どこの国のサービスか気になっていた方も、安心してRobloxの世界を楽しんでみてくださいね。
